unplugged

アンプラグド[unplugged]: 生楽器だけで演奏すること

かしゆかの魅力に気づいてしまった夜

2020.2.25。Perfumeのライブに行った。正式に言えば、Perfume 8th Tour 2020 “P Cubed” in Dome 東京ドーム公演に行ってきた。「ネタバレ云々はご遠慮ください」という場内アナウンスが入ったが、私はネタバレができるほどの身分ではなく、Perfumeについて詳しいことは知らない。曲名も「チョコレートディスコとポリリズム以外は聞けばわかるよね。」ぐらいのパヒューム民度である。だから本ブログではネタバレをする事が事実上できない。

そんな私が「大人になったらPerfumeになりたい。」と明言するNちゃんにお誘い頂いてPerfumeのライブに行ってきた。世の中にコロナでイベント自粛要請がきた前日の出来事である。

 

Perfumeと言えば「かしゆかです!」 「あ~ちゃんです!」 「のっちです!3人合わせて…」 「Perfumeです!!!」 」である。3人合わせてPerfume。それがPerfume

 

・あ~ちゃんと言えば、よく喋る前髪ありのミディアムロングヘアー。

・のっちと言えば、ショートボブで、正統派美人。ダンスのキレがあるスポーティー女子。

かしゆかと言えば、ロングヘアーでパッツン前髪。なんだかミステリアスだけど実態が掴めない。

各メンバーに対して私はそんな印象を抱いていた。

 

それがどうだ、ライブが進むにつれ私は「かしゆか」に心を鷲掴みにされるのである。

 

大体Perfumeはよく喋るあ~ちゃんがフロントマンとして客人をもてなす。その次に正統派美女であり美脚美尻ののっちに惹かれる。そういう構図になっている。でも、今回ライブに行って分かった。かしゆかはライブに行かないと魅力が伝わらないようになっている。だからライブに行った事がない人はせいぜいのっち止まりでかしゆかに辿り付けないのだ。Perfumeは人気が高いらしくライブチケットは一般では取れにくいようで(私もファンクラブ会員の友達がチケットを取れたから行けた。)だからこそ、かしゆかの魅力に気付いていない一般ピーポーにかしゆかの魅力を知って欲しくて危機感と臨場感を持ってしてタイピングを走らせている。

 

Perfumeは3人とも、とても細い。中でもかしゆかはお人形のように細い。そしてダンスが艶めかしい。艶めかしいというのは艶やかで色っぽいという意味だと思うのだが。艶めかしいなんて単語を普段使わないので実際のところ分からない。でもとにかくかしゆかは「艶めかしい」という言葉がぴったりなのだ。モニター越しにかしゆかのダンスを見ても「生」じゃないと彼女の〝艶めかしさ〟は伝わらないように思う。それがもどかしいのだが、それが逆に「生ゆか」を知ってる人の特権であるならば、なんて贅沢な事だろうと思う。あーちゃんが玄関でフロントマンだとしたら、のっちはダイニングにいる。だけど其々に自分の部屋があるのなら、かしゆかは寝室にいる。そんな印象を強く持った。

 

寝室という部屋は深い中になった相手しか踏み入れないプライベートな領域であろう。「こんにちわー」と入ってきた人をリビングまで通すことはあっても寝室には通さない。かしゆかは寝室を担当していて、彼女の神秘性や艶めかしさはそこからきているように感じられた。決して爽やかな存在ではないと思う。パヒュームの館に迷い込んで寝室まで入ってきてしまった人間を誘惑して誘導して彼女の意のままにしてしまう。いや勝手に迷って入ってきた蝿が勝手にメロメロになってしまう。彼女の得体のしれなさは表面的に見ているだけでは計り知れない。エロティックで伝統芸能を見ているような世界観を醸し出すゆかちゃんには〝ライブに自分の意思を持ってお金を使った人しか会えない〟そういうシステムなのだ。

ライブを見届けた私は「かしゆか!!じゃなくて、ゆかちゃん!!」と意気揚々とドームを後にした。

 

ライブに行くまではPerfumeってテクノミュージックを取り入れてダンスができてバックにクリエイターがいて「クリエイティブ集団」って感じのイメージだった。でも彼女たちは自分達のことを歌手だと思っていて、周囲の思惑に反して少女の時代の夢を叶え続けているという事も知った。

 

彼女達は「売れるまで髪型を変えない。」とルールを作り、あ~ちゃん→ミディアムロング、のっち→ショートボブ、かしゆか→スーパーロング前髪パッツン。で、自らをブランディングしている。売れた現在も彼女達はそのルールに則っている。ということは今もまだ過程の最中で、その夢の途中ということなのではないか。女性は失恋したり自分を生まれ変わらせる時、髪を切ったりイメージチェンジをすることでバランスとったり区切りをつけるところがあるから、髪型を変えないっていう行為はブランディングとしては当たり前だけど、相当な意思が必要なことのように思える。でもそうやって彼女達はそれぞれの役割を意識し、バランスをとり、15年の歳月を共に過ごしてきたのではないかとニワカ者の私は察した。

 

ある種3人は運命共同体で誰かが結婚出産をしたら活動が止まってしまうだろう。きっと女性としての幸せを考え葛藤もあったと思う。「今が幸せ。まだ走れる。まだ止まりたくない。」そう突っ走ってきた15年なのだと思う。結果的に彼女達の音楽は他の誰もやっていない、歌って、テクノ層も巻き込み、アイドルの要素も入り、ダンスはキレッキレで完璧で格好良く、、、

 

などと私の邪推をドーム後の飲み会で披露し、すっかり魅せられてしまった。

 

「でも一周して最後はあ〜ちゃんに戻ってくるの。」そうファンクラブ会員のNちゃんは言った。あ〜ちゃんに帰ってくるその日まで私はかしゆかの寝室でブーンブーンと飛び回る。