unplugged

アンプラグド[unplugged]: 生楽器だけで演奏すること

アンビバレント

アンビバレントとは「相反する感情や考え方を同時に心に抱いている」さまを指す言葉。

俳優 三浦春馬氏の突然の訃報に接し、私が辿り着いた言葉です。

 

彼は超売れっ子でダンスも歌も演技もできるパーフェクトイケメンだった。英語も喋れて料理もできて筋肉もムキムキで彼の歌とダンスを見た時、努力の塊みたいな人だと思った。しかも性格も優しくてきめ細やかな気配りをする人だったようだ。

私はびっくりしすぎてぽかんとして何が起こったか調べたら更にぽかんとして、30分くらい「なんで、どうして、」ばかりだったけど更に30分くらい経ったらすごい悲しくなって携帯の画面越しに故人を偲んだ。

 

彼の訃報に接し、「コロナが終わったらどんなに短期間でもいいから絶対海外に語学留学するぞ。」と心に決めた。私は英語の勉強をして喋れるようになった彼から良い影響を受けていたから。肩書きに制限されず自分を表現して良いと彼から学んだから。彼が居なくなって私はとてもとても悲しい。

 


人には色々な役割が有る。

その役割を果たして、やっと自分の自由な時間を得れるから目の前の事を頑張れたりするけど、彼は役を演じても演じても〝本当に心から自分が喜びを感じる自由な時間〟を生きることができなかったのかもしれない。「本当に自由になるまでは。」と、スキルを磨いて有る程度の領域に達し、人からは完璧と呼ばれたけど、自由になるという選択肢は気がついたら「自死」しかなくなってしまったのかもしれない。相談したって「今のキャリアを捨てるなんて勿体ない」と言われるだけなら相談は意味のないもの。

 

自分自身も自分が恵まれている事は分かっているのに体は鉛のように動かなくなる。そもそも他にどうやって生きていけば良いのかも分からないし、そこに自分の活動で飯を食っている人がいる責任が加わり鉛に釘が刺さったように動けなくなる。


そのうち「必要とされているうちが華。」って必要とされている役割を頑張って果たそうとする。「求められている場所を居場所として頑張ろう。」って。


バランスが取れている時はとても高く飛べる。でもバランスが取れなくなると奈落の底に落ちる。でも落ち込んだ状態では良い仕事はできない。仕事を休みたい。仕事を辞めたい。誰かに迷惑をかける。だからあと少し頑張ろう。また頑張ろうとする。


ある日このまま頑張り続けることはできないだろうと思うようになる。生きている事の喜びより、無気力感、疎外感、孤独感が勝るのだ。理性が止まって、もういいやって。


苦しみから逃れたい一心で境界線を超えたある日フワリと自死を選ぶ。


孤独と疲労の蓄積。少なくても私は自死を選ぶ心情が少しは理解できる。自死って昨日今日考えてできることじゃない。


本当の自分の気持ちを押し殺して昨日までずっと頑張ったんじゃないかな。でも「本当の自分」みたいものを形成する時間すら無かったのかもしれない。それってすごく苦しい。


それでも自信がつけたくて、歌・演技・ダンス・語学・筋トレ・料理、色んな事を学んで努力して習得してそのスペックを彼は役者として使うけど、このまま頑張り続けないと今の立ち位置が無いという恐怖とプレッシャー。

猛烈に誰かに甘えたかっただろうけど、それはできなかった。

 

取り繕わないそのままの自分というのは誰かを傷つけてしまうかもしれない。だから気を遣って接して、また「本当の自分」というのは何なのか輪郭はぼかしておく。

その繰り返し。

それが分かるから、もう頑張らなくていいよと声をかけたい。


アンビバレントが統合され、どうか今は安らかでありますように。