アユールヴェーダ
周囲の誤解を恐れずに言うのならば私は子供の頃、魔法使いになりたかった。
初めてジブリの魔女の宅急便をみたときは実家の裏庭の縁側から箒を跨いで飛ぶ練習をした。
中学生の時大好きだったhydeが「ハリーポッターにハマって毎日読んでいる」と雑誌で言っていて好きな人の影響をすぐ受ける私はハリーポッターを毎日読んではホグワーツを恋しがった。
魔法学の授業でハリーが薬草やカエルや髪の毛を入れて魔法の薬を作った時、現実世界でこんなことはできないだろうかと思考を巡らせた。「ホグワーツから私にも入学通知書が届いていない?私がマグルなわけがないわ・・・」と母に詰め寄ったほどだった。
高校生のとき、アユールヴェーダというものを知った。その時は体質診断だけして好きだ好きだと思いながら学びを深めようとはしなかった。
20歳のとき友人に連れられた初めてのヨガ体験で出会った先生はインド人だった。
一通りポーズを取り終えると部屋が暗くなり、小さなO/Dからはマントラの呪文が流れた。私はそれを聞いていると心が静まるような気がしたけど、友人2名は吹き出して廊下に飛び出していった。マントラは知的世界をそのまま音として受け入れられるか・宗教のような怪しさとして違和感を感じるかがハッキリ分かれると思う。
私の場合は個人的には違和感がなかったけど、世間的には吹き出して廊下に飛び出していった友人達のような態度が正しいのだと思う。
その帰り道にスープカレー屋さんに行った。世界観的に似たようなものを感じて私はいいなー好きだなーと感じながらも気持ちを言葉にすることはないまま「美味しいね。」と言った。
大人になった今でもその世界観が好きだった。
静かで厳かで否定も肯定もなくて、ただ在るだけの空間が。
でもそんなことを言うと周囲にやばいやつとか変わってる人だと認識される故に「世間的にはこうでしょう?」と世の中を斜めに見る癖が鋭利に進化していった。そしてその時に気持ちを置き去りにしたまま、社会人になり結婚し日常生活を送ることになる。
去年から本格的にヨガを生活の中に取り入れ生活をするうちに、アユールヴェーダという言葉をまた聞くようになった。これはもう私の人生では避けることが出来ない何かのお導きのように感じた。「世界三大伝統医学」という言葉を知った時に私がずっと気になっていたことはそういう事だったのかと腑に落ちて剥がれていく感覚がした。
「魔法使いになりたい」という子供の時の衝動は、厨二病をこじらせたファンタジーではなく、5000年以上の歴史を持つ世界最古の伝統医学に繋がった。
「薬草」や「薬味」という言葉がずっと昔から気になっていたけど、それは野菜やスパイスの事だった。私は空腹を満たすためではなく私や自分以外の人のために料理をする時は、体調やなりたい体を想像して〝この食材と野菜を使ってこんな料理をしよう〟とハリーポッターの魔法学さながらに料理をしているから料理が好きなのかもしれない。
ただ美味しいだけの料理にも、ただ見栄えがいいだけの料理にも興味がない。
「私インナービューティー、してるんです。」という女子にも興味がない。
去年の夏にホロスコープを勉強してホロスコープが少し読めるようになったんだけど、アユールヴェーダはインド占星術や錬金術とも繋がりがあるのでこれもまた腑に落ちた。私はどちらかというと家庭環境から「普通にならないと。」と思って生きてきたからなのか、ヨガやアユールヴェーダをベースに生きたりしたくなかった。知的世界に溺れて生きたくはなかった。でもその拒絶と欲望で引っ張り合った経験が私に〝バランス感覚〟を授けてくれた。
28.9歳くらいに人生の転機を迎えて〝自分が何をベースに生きていくか〟ということを私は再構築しないといけなかった。自分が何を信じて生きていくか、何を軸にするか、全て自分で選び直していく中で取捨選択を繰り返してインプットとアウトプットを繰り返した。この時期は自分には何もない気がして空虚だった。
去年は宗教や文明学の本をずっと読んでいた。
あぁついに本腰を入れて学び始めてしまったかと思った。
今年はハーブを育て始めた。
あぁついに育て始めてしまったかと思った。
そんな中で当たり前のようにアーユルヴェーダに興味を持ち、今に至ります。
アーユルヴェーダは、心、体、行動や環境も含めた全体としての調和が、健康にとって重要とみる。このような心身のバランス・調和を重視する考え方を、全体観(英: holism)の医学という。医学のみならず、生活の知恵、生命科学、哲学の概念も含んでおり、病気の治療と予防だけでなくより善い人生を目指すもの。
全体観(英: holism)これが何かというと
例えばトマトが体に良い!痩せる!とテレビで放映されたらトマトがバカみたいに売れたりするけど、トマトだけ食べてその効果を得るのは難しいですよね、ということ。トマト以外の多くの栄養素が関連し合うことで初めて効果が生まれる。
人が病気になった時も一つの臓器だけが傷ついていることはあり得ない。生命は酵素の連続である代謝で成立しているから、一つの酵素だけを促進しても病気は治らない。
今の科学は「1つの結果に1つの原因」と考えがちですが、人間の体も自然もそんなに単純なものではない。だからこそ全体観(ホーリズム)が大切。
ホーリズムを前提に考えていくと自然と予防医学にも繋がっていく。アーユルヴェーダが予防医学と呼ばれるのはそういうこと。
占いで恋愛相談をされたりするけど、そこをピンポイントでどうにかできるわけじゃない。でも相談内容は幹ではなく大体が枝葉がクローズアップされている事がほとんど。
私はただ、ホロスコープはその人の持って生まれた性質を理解するためのヒントとして用いる。
アユールヴェーダにしても、ホロスコープにしても、人を分類して、掛け算して引き算して個人のオリジナリティーを見出し、実践して、その人にとって生きやすい社会との着地点を見出す。
私はそういう事に興味がある。
長くなってきたので今日はここまで。
またすぐに。