unplugged

アンプラグド[unplugged]: 生楽器だけで演奏すること

私物と財布とお金との付き合い方の歴史

HERMESのピンクのポーチ。その中にはabrAsus(アブラサス)の薄い財布と細いキーケース。Diorのカードケース。frictionのボールペン赤青黒三色。英語単語帳。スケジュールと生理予定日だけ書き込める薄い手帳。小さいアトマイザーにCHANELのCHANCEの香水。頂き物のukaのネイルオイル。夏には手放せないBioreの汗拭きシート。567時代の三種の神器の除菌ジェルも忘れずに忍ばせて。

そして、そのポーチをCartier展で買った1500円のトートバッグに入れる(そこ、本物のCartierじゃないんかい! 笑)

ロールタイプの日焼け止め。CELINEの日傘。一番小さいサイズのイロハス。充電済みの携帯をinしたら、マスクを顔にon。夏用の洗えるマスクの横でチャームが揺れる。

これで私スタイルの完成。

 

人の持ち物には個性が滲み出る。どんなにこだわるなと言われてもこだわりたいものがある。昔は財布にこだわっていた。お札が折れるのが嫌で上質な革の黒の長財布を探した。21歳の時ピッタリなソレに出会い「お金が入ってきますように。」って買ったGUCCIは未だに私のお金の総本山としてヘソクリ用に大切に使ってる。大切に使っていたから今でも全然使える。

 

「財布は3年毎に変えるべし。」そんな話を聞くけど、心トキメク品にはずっと鎮座して頂きたい。2代目の財布は白の蛇革。使うにつれて味が出てきて滑らかで艶々で気に入っていたのにある日、「味」が「汚れ」に見えた(笑)

〝財布を買い換えたいタイミング〟は〝髪の毛を切りたくて仕方なくなってしまうあの感覚〟と似ている。白蛇は海外行くとき用の財布として現在は鎮座。

 

時代の流れでカード決算が主流になり、お札を以前ほど使わなくなってきてDiorのカードケースを購入。どんどんミニマリストになっていく自分がいて、長財布をやめて、数枚のお札とお釣りの小銭を試しに入れてみた。ある日、手品のようにお札がレジ前で溢れてちっともエレガンスじゃないやん、って唖然。

 

そして3代目の今のabrAsusに出会う。

abrAsusは最高にミニマルで機能的。お値段も2万円以下。これなら、〝髪の毛を切りたくて仕方なくなってしまうあの感覚〟が来た時、サッと買い換えることができる。

数枚の新鋭の本当に使うカードだけ収納できて小銭も千円分だけ収納可能。秘密の収納には実家の鍵をお守り代わりに入れている。

キーケースと小銭入れが一体化しているから、小銭は小銭入れにいれたい派の私のこだわりも見事に再現。イタリア製。本革。これで1万円しないのだから、本当abrAsus様々。

 

曲がってないお札へのこだわりが薄れた時、ようやく誰かや社会の固定概念や定義ではなく、自分流のお金のスタイルみたいなものが形成された気がした。

 

お札は曲がったって価値は変わらない。

大切にしたかったのはお金との付き合い方。

 

もし自分が「何かの店のオーナー」でお客様にお釣りとして渡すとしたら、そのためだけに真っ新なピン札を用意するかもしれない。それはきっとお客様への自分の態度。

 

でも何百回と買い物してきたけど、店員さんはそんな事気にせず、機械のレジにお札を入れてお札は旅に出る(笑)ピン札好きな友達はいてもお札が曲がってても文句をいう友達は私はいない。向きがバラバラだって、毎月最低限稼げてマイナスになった事は今まで一度もない。

 

私物や財布を振り返ると、なんだか私の歴史が見えてきた。

 

最近は「重たいから。」という理由でハイブランドのバッグを使っていない。小さいくせによく入るGUCCIはスタメン。トキメクからね。いつだってハイブランドだから。」ではなく「自分が使いたいか。」を基準に物と付き合ってきた私のこだわり。

 

ファッションは人の心の表面。

 

UNIQLOのTシャツにジーンズも大好きだけど、例え背伸びだとしても、本当に心トキメクモノに背伸びして大人の階段を登って来たのかな。ハイブランドの素晴らしい点は「このブランドを着こなせる自分であろう」と、努力する点。

 

ココ・シャネルがカッコイイのは、服やバッグを作ったじゃなくて、スタイルを作った人だから。ちょっとでもそんな格好いい人のエネルギーを自分に分けてもらって、凛としていたい。素敵だと思う人の影響を受けていたい。

 

そんなこんなで、私は着飾るためではなく、定期的にハイブランドを自分に買い与える事をやめない。

ハイブランドに相応しくない自分なんて…」なんて卑屈な女にもならない。

言い訳もしない。

ハイブランドを身につけないと自分に自信が持てない女にもならない。

かと言って「全身ハイブランドな人は実は自信がないんじゃない?」なんて、おかしな女のマウンティングも、しない・させない・巻き込まれない(笑)

 

こだわってこだわりを削いで、最後に残ったこだわりは自分のオリジナル。

 

高い物でも本当に欲しいなら値段や肩書き、イメージに囚われず手に入れてみたら良いと思う。物では埋まらない心のスペースや渇きは必ずある。それは実際の自分と物との「差。」でもそれは実際に金や物で埋めないと分からない事。何も手にしない綺麗事でそれが分かるわけがない。

 

物に金をかけるのか。

物より金を貯めるのか。

経験に使うのか。

え?全部必要なんだけど。

だからやる事やって、お金貯めて使って、お金貯めて使う。繰り返してるとお金への執着心が良い意味で無くなってきた。

問題なのは自分が今どのステージにいるのか客観視して、お金に使われるんじゃなくてお金を使う側になる事。本当に欲しいものを使えば欲しくない物が分かるようになってくる。お金は人を自由にも奴隷にもする紙切れ。

 

今は財布に対して〝髪の毛を切りたくて仕方なくなってしまうあの感覚〟は無いけど、また来るであろうその日はどんな財布を選ぶのやら。マネークリップかもしれないし、abrAsusをリピート買いするかもしれないし、HERMESに手を出すかもしれないし、CHANELで全部揃える!とか言い出すかも。

 

今は物欲の時期ではないけれど、こだわりの厳選メンバーは私の心を豊かにしてくれる同性の友達みたいな存在。